
朝の庭に、色づき始めた葉が一枚、土の上へ降りていました。
落ち葉を見ると、すぐに集めてきれいにしたくなることがあります。けれど、庭の隅や鉢のそばに残された葉は、役目を終えたものではありません。
乾いた葉の下には、わずかな湿り気が保たれます。小さな虫や微生物が行き来し、時間をかけて葉を細かくしながら、土へ戻していきます。
もちろん、病気の葉や、風通しを妨げるほど積もった葉は取り除いたほうがよいこともあります。すべて残すのでも、すべて片づけるのでもなく、場所を見て決めることが大切です。
人の暮らしにも、すぐに答えを出さなくてよい場所があります。
まだ言葉にならない気持ち。
手放すか迷っているもの。
役目が分からないまま残っている時間。
急いで整理しなくても、静かに置いておくうちに、次の暮らしを支えるものへ変わることがあります。
庭の落ち葉は、終わりを隠すのではなく、その先にある循環を見せてくれます。
今日の庭にも、ひとつだけ、土へ戻る時間を残しておきます。
急がず、比べず、育つ時間を見守る。
根ノ庭
